地平線から朝日が昇る。それを眼下に見下ろす高度一万Mの空に、正義の魔法使いと言った格好の老人が浮かんでいた。と、風が吹いた次の瞬間、クラシカルな魔法使いの格好の老人が、その隣に浮かんでいた。

「久し振りじゃな、我が朋友」

「うむ。……それで、あの娘は連れ出せたのか?」

「おうよ、今頃は再会しとるじゃろう。いやいや、ニミュエの監視が厳しゅうてな」

「嘘をつけ。タイミングを計っておったのだろう?この悪戯好きめが」

「お前さんに言われとうないわい、ゼルレッチ」

「お前ほどではないぞ、マーリン」




錬剣の魔術使い・第十二話




死んだ。振り下ろされる魔剣を見ながら確信した。だが、

ギィィィィィン!!!!!

魔剣が、俺の命を断つ事はなかった。

「貴様、何者!!」

リィゾさんが、目の前に立ちはだかった相手に斬りかかる。だが、その相手は剣の丘から引き抜いたであろう剣を手に、その斬撃を悉く防ぐ。いや、むしろ、黒騎士が押されている。


朝焼けに輝く、金糸の髪。

「―――問おう。貴方が、私のマスターか」

垣間見えた、澄んだ聖緑の瞳。

「それでは、シロウと。ええ、私としては、この発音の方が好ましい」

その身を護る、清麗な銀の鎧。

「―――シロウなら、解ってくれると思っていた」

その身を包む、空の如き青い衣。

「―――やっと気づいた。シロウは、私の鞘だったのですね」

思考が停止している。現状を認識しきれない。これは夢だと自分を騙せない嘘が、心に湧き起こる。

「判らぬか、下郎。そのような物聖杯より、私はシロウが欲しいと言ったのだ」

だが、目の前にいる「彼女」は現実だと、魂が訴える―

「シロウ――――貴方を、愛している」


「「ハァァァァァァ!!!!!!」」

裂帛の気合と共に繰り出された一撃の激突の後、黒騎士と「彼女」が距離を取る。そして、両者が、再び激突すべく、踏み込もうとした瞬間、

―世界が殺されたかの様な怖気が奔った―

その場にいた全員が、新たな登場人物を見やる。いや、見ざるを得ない。そこには、

「全員、そこまでだ。これ以上闘うつもりなら、おれが相手をしよう」

どこまでも蒼い輝きを放つ眼をした志貴さんがいた。全員、首肯する。今の志貴さんに逆らうのは、自殺行為でしかない。

「し、志貴、怒ってる?」

アルクェイドさんが、眼鏡をかけた志貴さんにおずおずと尋ねてる。

「怒ってる」

笑顔で言う志貴さん。青褪めるアルクェイドさん、シエルさん、アルトさん。

「とにかく、戦いはこれまで。まったく、どうしていつもこうなんだ?たまには落ち着いたバレンタインでも良いじゃないか」

と、愚痴りながら屋敷に戻る志貴さん。それに謝りながら続くアルクェイドさん、シエルさん、アルトさん、その一行。そして、そこに残される俺、凛、ルヴィアさん、そして、

「……シロウ」

「彼女」。別れた時のまま、本物の朝焼けを背に立つ彼女。

「セイ―」

いや、違う。聖杯戦争は終わっている。使命も果たされた筈だ。ならば、クラス名でもなく、王の名でもない。五年前、半月にも満たぬ鮮烈な日々の中、ただの一度も呼べなかった彼女の真名。そして、あの時の答えを、今こそ告げよう。

「アルトリア、俺も君を愛している」

あの時から変わらぬ想いを告げる。

「シロウ、シロウーーー!!!」

凛とした表情を崩し、その聖緑な瞳から涙を零しながら、アルトリアが飛び込んでくる。

「シロウ、逢いたかった、あなたにずっと、逢いたかった!!!」

俺の腕の中で泣くアルトリアを優しく、でも強く抱きしめる。そして、言葉だけでは伝えきれない想いを伝えたくて、俺は彼女の唇に自分の唇を重ねた。



あの後、しばらくアルトリアとキスを続けていると悪寒を感じ、その場を飛び退いた。するとガンドが二発、俺の居た地点を直撃。……人体サイズのガンドって初めて見た。で、そのガンドを放った二人を見ると、バーサーカーも裸足で逃げ出しそうなあくまが居た。バーサーカーは最初から裸足だけどな。
俺の「へっぽこ君センサー」(特許出願中)が、アラートをしきりに鳴らす。危険を回避するため、遠野家の居間に避難する事にする。いや、問題の先延ばしなだけだが。とは言え、アルトリアに聞きたい事もあるし、冬の早朝に外に居るのも寒いし。と言うわけで、移動。ちなみに、俺の右腕にアルトリア、左腕に凛が腕を絡めている。二人の視線の間に紫電が迸っているのは気のせいか?あと、背中に灼かれるような殺気が放たれている。さっきのガンドと言い、俺、ルヴィアさんに何かしたか?
居間に着くと、チョコの香りがした。どうやら、チョコのお披露目がされているようだ。

「士郎!!!」

居間に入った瞬間、志貴さんが蜘蛛めいた動きで迫ってくる。突然の事で反応できない。やられる!?

ガシィ!!!

志貴さんは俺の手を取ると、力強く握手してきた。

「士郎、……ありがとう」

万感が込められた呟き。驚きながら視線を中に向けると、ある物が目に止まる。それはサンドウィッチ。

なるほど、納得。

「……いえ。たいした事、してませんから」

「いや、ホントにありがとう」

志貴さんが、礼を言う度に、翡翠さんが不機嫌になってますよ。睨まないで。

「ところで、士郎、その子は誰なんだ?」

志貴さんがアルトリアを見ながら言う。俺が紹介するよりも早く、アルトリア自身が口を開く。

「アルトリア=ペンドラゴンです。私は、シロウの、その……」

「友人です」

凛がキッパリと口にする。

「リン!?」

「あら、何かしら、アルトリアさん?」

睨み合う二人。と、アルトリアが俺を見上げてくる。不安気に揺れる瞳。応えなければ。でも、応えられない。左腕が変形するくらい絞まっているから。
問題の先延ばしだが、今は疑問の解消を優先させよう。正直、まだ混乱してるから。

「アルトリアは、どうやって今ここに居るんだ?」

ソファに腰掛けてから聞く。
別れた後、彼女を待っていたのは死であった筈だ。なら、アルトリアはどうやって、今ここに生きた人間として居るのだろうか?

「それは、シロウのおかげです」

「俺の?」

「はい。私は本来なら、あのまま死を迎える筈でした。ですが、私は失ったある物を再び手にしていました」

「……全て遠き理想郷アヴァロンか!!!」

「その通りです。それから、私は妖精郷で眠りに就いていたのです。そして先日、悪戯好きの老人の脱走に付き合わされ…」

「でも、良くここが分かったな。その悪戯好きの老人が連れて来てくれたのか?」

「いえ、彼の友人と言う女性に送って頂きました。しかし、到着してすぐに、シロウが危機に陥っているとは思いもよりませんでしたが。まあ、シロウらしいと言えなくもありませんが」

「いや、今回は特別だと思うぞ。いっつも、危ない目に遭ってる訳じゃないぞ」

そう、信じたい。

「すまないな、士郎。危険な目に遭わせちゃって。ほら、皆謝って」

「ごめんねー」
「すみません」
「すまぬな」

「い、いや、気にしないでください。そもそも、そのためにここに来たんだし」

「ですが、本当に間に合って良かった、シロウ。もし、間に合わなかったらと思うと…」

「アルトリア…」

涙目になるアルトリア。上目遣いと相まってクラクラする程、可愛い。涙を優しく拭ってやる。と、

「そうです、シロウ。これを…」

と、懐から何かを出すアルトリア。美しいデザインの紙に包まれた箱。

「その、今日は、愛する殿方にチョコを贈る日と聞きました。……受け取ってくれますか?」

「勿論だ、アルトリア!」

顔を赤く染めながら、チョコを渡してくれるアルトリア。衛宮士郎、萌えました。アルトリアに顔を近づけてキスしようと―

「何しようとしてるのかしら、士郎?」

出来ませんでした。背後から響くあかいあくまの声。怒りだけじゃなく、拗ねているような、悲しそうな響きが含まれている。

「イ、イヤ、ベツニナニモシヨウトシテマセンヨ、リンサン」

なんか、俺って外道?と、凛もオシャレな包装の箱を持っている。

「それが有れば、これ、要らないわね」

「そ、そんなこと無いぞ、凛!」

「ホント?」

不安気に俺を上目遣いで見上げてくる凛。衛宮士郎、再び萌えました。凛に顔を近づけてキスしようと―

「シ・ロ・ウ?」

やっぱり出来ません。怒ってるな。でも、悲しげな響きが混ざってる。……俺って、やっぱ外道?

「シロウ、いつから、リンを名前で呼ぶようになったのですか?」

アルトリアが目を吊り上げながら、聞いてくる。周りを見れば、皆興味津々な御様子。どうすりゃ良いの!?

「シロウ?」
「士郎?」


進退窮まった!!この窮地を脱するなど、いかなる奇跡か!と、その奇跡が起きた。思いもよらぬ第三者の手で。……ただ、救いの奇跡じゃなかったけどね〜。

「シロウ」

いつの間にか、俺の前に立ったルヴィアさん。怖いほど真剣な表情。その手には…チョコ?

「ルヴィアさん?」

ルヴィアさんは、手に持ったチョコを口に入れると、

「んーーーー!!!?」

俺にキスしてきた。そして、口内に感じるほんのり苦味を含んだ上品な甘み。く、口移し!?

「な、何をしているのですか、あなたは!!?」
「な、何してんのよ、あんたは!!?」


固まっていたアルトリアと凛が、ルヴィアさんの顔を俺の顔から引き剥がす。

「シロウ、私、あなたを愛していますわ。……私のチョコのお味、いかがでした?」

なんて、顔を真っ赤にして聞いてくるルヴィアさん。

「「「なななななななななな」」」

ホワイ?ドウイウコト?ルヴィアさんが、俺を愛しているって、これは現実?と、口に感じる甘みが否応無く現実だと教えてくれる。

「な、何で、く、口移しなんか?」

「ミス・コハクに教えていただきましたの。バレンタインの風習を聞き困っておりましたら、手作りのチョコに対抗する唯一の方法だと」

見れば、満面の向日葵のような笑顔の琥珀さん。犯人をあなたです!!!

「シ、シロウ。あなたの気持ち、聞かせていただけませんこと?」

俺の膝の上に乗り、上目遣いで、耳まで赤く染めながら聞いてくるルヴィアさん。

「え、あ、あの」

現状に、頭がまったく追いつかない俺。と、両腕に激痛が走る。

「シ、シロウは、そ、その、私の良人となる人です!!あなたの想いには応えられません!!」
「し、士郎は、私のだんな様になるの!!あんたは引っ込んでなさい!!」


咆哮するあおいおうさまとあかいあくま。

「私は、シロウに聞いているのです!!部外者はお黙りなさい!!」

一歩も退かないきんのあくま。

「士郎、三つ股だー」
「衛宮さん、ダメですよ。まあ、志貴君よりマシですか」
「兄さんと同じタイプなのですね」
「あは〜、女の敵さんですね〜」
「衛宮様、ふしだらです」
「ニャー」
「世の中には三人は似ている人がいるって言うけど、ホントだね」
「さつき、それは容姿の話です。しかし、志貴と士郎が同タイプの人間である事に異論はありませんが」
「士郎、志貴には及ばぬが女誑しじゃな」
「んー、でも、士郎の方が手を出した数は多いわよ」

「何か酷い言われようだなって、先生!?」
「し、師匠!?」

重なる俺と志貴さんの声。

「ハ〜イ、志貴、元気してた?はい、コレ♪それとアルトリア、間に合って良かったわね」

志貴さんにチョコを渡して、アルトリアに声をかけるあかげのまじょ。アルトリアを連れて来たのって師匠だったのか。

「あは〜、いらっしゃいませ。ところで、先ほどの発言はどういう事なんでしょうか?」

悪魔の笑顔で師匠に問い掛ける琥珀さん。ヤバイ!!!止めなきゃ!!!

「「「是非、聞かせてください!!!」」」


俺の動きを封じる三人。目で、師匠に哀願する。返ってきたのは、とってもイイ笑顔。はは、切嗣、もうすぐそっちに逝くよ。待っててくれ。

「士郎が四年間、あっちこっち飛び回ってたのは知ってるわね。で、まあ、首を突っ込んだり、巻き込まれたり。表、裏、「こっち側」。でさぁ、トラブルにはロマンスが付き物でしょ。色々と出逢いがあってね。で、士郎は押しに弱いし、相手は吊り橋効果やら、一回きりだからやらで大胆だし」

三人の小○宙が増大してる。神様だってコロセルね、こりゃ。

「まあ、私や老師にも責任、あったかな?士郎、ストレス溜まってたみたいだしね〜」

ええ、並のストレスじゃございませんでした。あの頃は、生きる事に全精力を傾けていたんで、それ以外の事に精神力を割いている余裕が無かったんだよぅ。って、師匠、あんた悪いなんて欠片も思ってないだろ。顔、笑ってるぞ!!

「「「それで、何人に手を出したんです?」」」

静かな口調が逆に怖いであります、師匠!!!

「そうね〜、三桁、行ってるわね」

それはもう楽しそうに言うまじょ。ゴッド、俺なんか悪いことしましたか?

「ダメだよ、士郎。複数に手を出す時は、バレないようにしなきゃ。基本だよ、基本」

って、いつから神になったんだ、オヤジ!?

「去年から。ジゴロの神としてね」

オヤジらしい役職の神だな。…なんて現実逃避してる場合じゃない!!!に、逃げなきゃ!!!

「ま、安心しなさい。子供はいないから。避妊はしてなかったけど」

どうして、余計な事を言うんだぁぁぁ、アンタはぁぁぁぁぁぁ!!!って言うか何で、そんなこと知ってんだ!!!見てたのか!!?

「ホント、良く子供出来なかったわよね、あんだけ濃いのに」

ビキ。

世界が罅割れた音がした。

「「「何故、「濃い」と言う事が分かるんです!?」」」

ああああああ、それを言うのだけは止めてぇぇぇぇぇぇ!!!!!!


「ちょっと、あってね。非常時で、ライン、繋いだ事あるのよ」

ハイ、終わりました。みなさん、さよなら、サヨナラ、SAYONARA。

「「「フ、フフフフフフフフフ」」」

ワオ、皆さん怖い表情カオ。美しい顔が台無しですわよ?

「シロウ、覚悟は良いですか?」

と、あおいおうさま。おや、素敵なヘルムだね。あれ、俺、約束された勝利の剣エクスカリバー勝利すべき黄金の剣カリバーンなんて投影してたっけ?………これぞ、正にフルアーマーダブルセイバー。

「士郎、他の女に手を出せて、私に手を出さなかった理由、聞きたいんだけど?」

と、あかいあくま。魔術刻印は輝き、宝石剣は唸りを上げる。大斬撃を無限に繰り出しそうな雰囲気です。………殺る気満々ですか?

「シロウ、私のモノになる前に、調教が必要なようですわね?」

と、きんのあくま。魔術刻印の輝く腕で、首を絞めてきます。ギヴ、ギヴゥゥゥゥゥ!!!!!………嗚呼、お花畑が見えて来た〜♪

「「「それでは、話の聞ける場所に行きましょう?」」」

ドナドナ〜と言った感じで、あお、あか、きんの最早まおうにクラスチェンジした三人に、引きずられて行く俺。

「士郎、死なないようにね〜」

くわっ、師匠!!!原因がいけしゃあしゃあと!!!って、誰かお助けを!!!視線を彷徨わせると、志貴さんと目が合った。弾けるシンパシー。

今、理解した。俺が感じたシンパシーの正体はこう言う事なんだな。……正直、理解したくなかった。

俺と志貴さんは親友、むしろ心友?と言うレベルで解り合えた。今こそSOS!!!

“志貴さん、助けてください!!!お願いします!!!”

“ゴメン、無理”

“そ、即答!?そ、そこを何とか!!”

“じゃあ、聞くけど、士郎が逆の立場だったら、どうする?”

“スイマセン、無理です”

“だろ。……人間、諦めが肝心な時もあるよ”

“そ、そんな!!せ、せめて、先達として、な、何かアドバイスを!!”

“………生きろ”

“………生きます”

俺と志貴さんだけに許されたコミュニケーションが終わる
閉じられていく居間へのドア。そして俺の頭に響く問いかけ。

「君は生き延びる事が出来るか!?」(永井○郎さんの声で)

アンサー。

ダメポ。

そして、居間へのドアが閉じられた。



翌日の昼、俺は厨房の方に顔を出すと、志貴さんがいた。

「おはようございます、志貴さん」

「おはよう、士郎。とは言っても、もう昼前だけど」

「他の人達は?」

「あ〜、まだ寝てる。そう言う士郎の方は?」

「え、あ、あの、まだ寝てます」

「士郎、案外鬼畜だな」

「ぐ!!」

言われてもしょうがない。何せ、昨日の朝から今朝までずっと、体を張った説得と言うか、弁明と言うか、パトスが暴走したと言うか。しかも、三人同時。嗚呼、俺、正義の味方失格だYO!!

「ハハ、まあ、三人とも大事に思ってるんだろ?大事なのはそこじゃないかな」

穏やかにそんな事を言ってくれる志貴さん。何だか説得力があるなぁ。

「ところで、何作ってるんです?」

「ああ、朝飯兼昼飯かな。士郎達の分も一応作ってるけど」

「それなら手伝います」

一人、見かけによらず食べるからなぁ。と、ここである事に気付く。

「そう言えば、琥珀さんや翡翠さんが、志貴さんに食事の用意をさせるほど寝坊するなんて。何かあったんですか、昨日?」

あの後、また騒動が起こったのだろうか。と、志貴さんは笑いながら、

「い、忙しかったから疲れているんだよ、きっと」

少し焦った様に言う。?少し不審に思ったが、志貴さんの手伝いをしようとすると、

「しき〜。ブルー、帰ったよ〜」

と、気だるそうにアルクェイドさんが厨房に入ってきた。師匠、昨日泊まって行ったのか。くそ、いつか仕返ししちゃる。

「あ〜、ラーメン作ってる〜」

そう、志貴さんはラーメンを作ってる最中だ。

「それにしても、志貴タフだよね〜。まだ、アルトルージュ、シエル、妹、さっちん、シオンは動けないみたいだよ〜。私も、足ガクガクするし〜。琥珀や、翡翠、レンは起きないし〜。ブルーはつやつやしてたけど〜」

「ば、ばか!!」

「どういうことです?」

「あ、士郎、いたの〜?」

「ええ。それで、何で足ガクガクなんです?」

確信をもって聞く。

「えへへ〜。士郎達に刺激されて、志貴、いつもより凄かったから〜」

イヤンイヤンしながら嬉しそうに言うアルクェイドさん。

「………」

絶句。さっきの話から察するに、じゅ、十人!?目を逸らす志貴さん。

「志貴さんも鬼畜ですね」

「う!!」

「違うよ〜。志貴は絶倫超人だよ〜。あ、でも、士郎もそうか〜」

「「むぬ!!」」

「でも、士郎。一日中シテたんだね。凄いね〜。志貴でも、琥珀にヘンな注射されなきゃ無理なのに〜」

昨日の朝から今朝までですから、そうですね。

バッ!

志貴さんが俺に視線を向ける。

バッ!!

顔ごと逸らす俺。

「まあ、志貴、今日は全員じゃなかったからね〜。友達の姉、ハッスル爺さんの娘、もう一人の妹、妹の友達二人と後輩で全員だから〜。今日は抑え目だったかな〜」

え?………十六人デスカ!?

バッ!

今度は俺が志貴さんに視線を向ける。

バッ!!

顔ごと逸らす志貴さん。

………俺達って。

体力の士郎、激動の志貴。ここに最強の絶倫超人タッグが誕生した。某超人格闘漫画に殴り込みだぁ!!(しません。)


志貴特製ラーメンが出来上がった頃、全員が何とか起きて出して来た。女性陣はポ〜としていたが。食後、志貴と士郎が中庭で話をしている間も、皆呆けていた。そして、色々ありながらも、夕食時。志貴が宣言した。

「明日から、ちょっと士郎のとこに遊びに行く。あ、誰もついて来ちゃダメだぞ。」

遠野家女性陣から、不満が上がったのは言うまでもない。そして、その夜、志貴の体を張った説得が行われた。翌朝、志貴を見送りに出た者は一人もいなかった。ちなみに、アルトリア、凛、ルヴィアはかろうじて冬木への帰途につく体力があった。


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