マブラヴ 未来への咆哮 episode:5 「戦場へのスタートライン」 <龍崎天馬さん>
――2001年11月22日(木)
総戦技演習を終え、横浜基地に帰還したのが昨日の夜だった。
朝、起こしに来た霞に、お土産の貝殻を渡す。ただ、呼び止めたせいで、ドアでおでこぶつけちまったけど。素人目?には判り難いが、喜んでくれた。……貝殻を耳に当ててくれた時、ウサ耳に当ててくれなかったのが、残念だったけどな。
この日の午前は、戦術機の基礎講習。そして。
「――午前の講習は以上。基本操縦マニュアルには1日1回、必ず目を通すこと」
「「「「「「はい!」」」」」」
「午後は強化装備を実装し衛士適性を調べる。各自昼食は1時間前には済ませ、ドレッシングルームに集合せよ。以上――解散」
「「「「「「はい!」」」」」」
まりもが教室を出て行った後、みんなが集まってくる。
「ねえねえ、このマニュアル全部覚えないといけないのかなぁ?」
「まあ、乗ってる内に覚えるさ」
「だといいなぁ、……ボク、こんなのさすがに覚えきれないよ」
実際、この分厚い基本操作マニュアルの内容は頭に叩きこまれた。シミュレーターや実機の操縦をしてる内に、覚えちまったんだ。夕呼先生も言ってたけど、習うより慣れろ、だよなぁ。
「さ、PXに行きましょう?」
「あ……うん!」
「なんだよ、千鶴。やけに嬉しそうじゃないか?」
「タケル、言われたでしょ? 1時間前までに、昼食を済ませておけって」
「戦術機適性を調べるんだもんな?」
「そうそう、さ、ご飯食べに行こう」
「皆も意地が悪いな」
「そう言う冥夜も楽しそうだぞ」
「ご飯ご飯……」
楽しそうだな、みんな。……クククッ、オレが何も知らないと思って。ばかめっ!!
「……さて、みんな!」
「なにー、たけるさん?」
ガシィッ!!
「え!?」
「どうも分隊長は今日のメシを、腹一杯食いたいそうだ」
「え? え?」
「冥夜、一緒に分隊長をPXに案内してやろう」
「………」
「慧、悪いが、分隊長のために飯取ってきてやってくれ。京塚のおばちゃんにおねだりして、超大盛りでな!」
「………」
「さ、壬姫、美琴、ボサッとしてないで、分隊長をPXにお連れしろ」
「「………」」
「ちょ、ちょっと、何するのよ!?」
「戦術機適性検査……いや〜〜、楽しみだなぁ〜〜」
「タケル、そなた……」
「し、知ってるのね!?」
「何の話かな〜〜? ほらほら、時間、無くなるぞ?」
「ちょっ!? 放して! 放しなさい!! み、みんな、助けて!!」
「「「「………」」」」
――にやり
「――!?」
フッ、誰をターゲットにしても良かったんだが、責任者は責任を取る為に居るのだよ、千鶴。人の上に立つ事の重みを知るが良いっ!
「榊、そなたらの企みは失敗に終わったのだ。潔く訓練校の伝統を、その身に受け容れるがよい」
「さ、千鶴さん、行こう行こう」
「ちょ、ちょっと、鎧衣! 裏切り者ぉ〜!!」
「……武」
「何だ、慧?」
「……超大盛りって、大盛りのどれくらい?」
「最低2倍だ」
「……了解」
「大丈夫だよ、何も心配要らないからー」
「何がっ!!」
「こうなっては覚悟を決めるしかあるまい。さ、参ろう」
「あんたたちねーーー!!!」
「わはははは、千鶴にはしっかり食べてもらわなきゃいけねえからな。……サービスだ、オレが食べさせてやろうか? あ〜〜んってやってな」
「「「「「!!?」」」」」
ん? 何か空気の流れが変わったような……。
――ガシィッ!!
「お!?」
「タケル、そなた、どうも昼食を腹がはちきれるまで食したいようだな?」
「……超超大盛りで」
「たけるさん、何も心配しなくていいですにゃー」
「さ、タケル、逝こう?」
な、何でいきなり、矛先がオレになっちまってんだよっ!? い、一体何が起きたってんだっ!?
「……あ〜〜んだなんて、そ、そんな、わ、私は別に嬉しくなんてっ!!」
何か小声で懊悩している千鶴を尻目に、オレはPXに連行されちまった。……結果、『記憶』以上にメシを食わされた。……てんこ盛りご飯、再び。
――シミュレータールーム
「「「「「「………」」」」」」
オレの前には強化装備を纏ったみんながいる。うーん、何と言うべきか。『記憶』のあるオレにとっては見慣れたモノだし、……その、みんなとは恋人同士だった訳でもあるし、今更ではある。
まあ、最初のドキドキ感が無いのは、少し寂しいと思ったけど。
「先ず、貴様らの戦術機適性を調べる訳だが……」
? まりもがオレに視線を向けてくるけど、何なんだ?
「白銀、貴様には」
「早速、シミュレーターに入ってもらうわ」
「せ、先生!?」
「「「「「!!?」」」」」
いつの間にかやって来てた夕呼先生が、そんな事を言い出す。
「こ、香月博士、いらしてたのなら、そう仰って下さい!」
「あら、そんなんじゃ、つまらないじゃない」
「〜〜〜ッ!! ……し、白銀、聞いての通りだ。貴様は適性検査を省略し、シミュレーターに搭乗して、用意されたデータによる実習を行え!」
「ま、待って下さいっ! な、何故、白銀は適性検査を受けずに、実習に入るのですか!?」
「あら、あたしは、言ってたじゃない。――白銀は、『特別』だって」
「「「「「!!」」」」」
「『特別』の理由を、まりもも含めたあんたらが知る必要はないわ。……ただ、白銀が、いかに『特別』かは、今から見せてあげるわ」
「せ、先生、き、聞いてないですよ」
「言ってないんだから、当然でしょ?」
「せ、先生〜〜」
「情けない声、出してんじゃないわよ。だいたい、あんたに適性検査や、動作教習なんて時間の無駄でしょうが。とにかく、あんたは、思いっきりやれば良いのよ。……それと、シミュレーターの3号機のOSは、例のヤツよ」
「!! ……完成してたんですか?」
「ええ。だから、思う存分、暴れて見せなさい」
「……了解!!」
シミュレーターに乗り込み、起動させる。ええと、データは、……ヴォールク・データ03!? せ、先生も無茶させるよな。ハイヴ内戦闘シミュレーションデータの中でも難度の高いヤツだ。
だが、新OSのお披露目には丁度良い! そして、オレは意識を感覚を、戦う為に研ぎ澄ます。
「――行くぜ」
ヴォールク・データ03に単機で挑む武。新OS、『XM3』を得た武の実力は更に凄まじい物となっており、結果は、ヴォールク・データ03での単機戦闘による、世界第二位の到達深度だった。
ちなみに世界第一位は、帝国斯衛軍司令官にして、出撃回数、BETAの撃墜数で世界記録を持ち、人類最高の衛士と謳われる、紅蓮醍三郎大将である。
――シミュレーターモニタールーム
「「「「「「………」」」」」」
「どう? あたしが白銀を『特別』と言った意味が解ったでしょ?」
モニターに映っていた武の実習内容に、呆然としたまりも、冥夜、千鶴、慧、壬姫、美琴。それを楽しそうに見る夕呼。と、そこに、実習が終わった武が入ってくる。
「先生、新OS、凄えじゃないっすかっ!! あそこまで、オレのイメージを再現出来るなんてっ! いや〜〜、やっぱ、先生は天才ですねっ!」
「フフッ、そんなの当然よ。スペックデータは勿論だけど見た目の美しさも、満足の行く出来に仕上がったわねぇ」
興奮する武に、ご満悦の夕呼。置いてきぼりを食った形のまりも達。
「みんなも見てただろ? 新OS、凄えよなっ!!」
興奮状態の武が、呆然としていたみんなに話し掛ける。それが切っ掛けだった。
「……白銀、貴様、何者なんだ?」
「……タケル、そなたは一体、何者なのだ?」
「……白銀、あなた、何者なの?」
「……武、何者?」
「……た、たけるさんは、どうして、そんなにすごいんですか?」
「……タケルって、本っ当に、何者なの?」
全員が一度に武の素性を問い掛けてくる。武は一度に詰め寄られてようやく興奮が冷め、現状を把握して背筋に冷や汗が伝う。
「えっ、い、いや、何者だとか、言われてもな……」
答えられねえ。正直に話す訳にはいかねえし、つうか、自分でも明確に答えられるほど解ってねえし。……どうする?
「ハァ、しょうがないわねぇ。本当は機密なんだけど、特別にあんたらには、白銀の素性を教えてあげるわ」
「「「「「「「!!」」」」」」」
おいおい、夕呼先生、何言い出すんだよっ!? オレの素性を話すってマジかっ!?
「白銀はね、普通の人間じゃないわ。――米国、ネバダ州の砂漠に在る秘密基地、エリア51。そのエリア51で国連軍が極秘裏に進めていた超精鋭衛士育成計画、通称、SES計画。その計画の集大成である00ナンバーズのラストナンバー、SES009。それが、白銀武の正体よっ!!」
「「「「「「「!!!!」」」」」」」
な、何ですとっ!? な、何故、夕呼先生が、SESの設定をっ!?
「……タケルの力が秀でているのに、そのような理由があったとは」
「……それが、白銀の過去」
「……武、すごいね」
「……たけるさん、すごいはずですねー」
「……やっぱり、タケルは特別だったんだね」
おおい、みんな、こんな作り話、信じちまってるよっ!? ……まあ、夕呼先生が話してるからなんだろうな、こりゃ。オレが話してもゲームガイが無ければ、軽く流されてただろうけど。
「SES計画は、ある事情から現在は放棄され、00ナンバーズは散り散りになったわ。今、他の00ナンバーズがどうしてるかを知る術は無い。だから白銀は、他の00ナンバーズと生きて再会する為に、戦う事を選んだのよ」
「「「「「それが、タケル/白銀/武/たけるさんの戦う理由……」」」」」
うわっ、更にちょっと良い話まで混ぜ込んでっ!?
「……なんて、嘘に決まってんでしょ。こんなガキが作った様な与太話、信じてんじゃないわよ」
「「「「「!!!!」」」」」
「……やっぱり」
……ゆ、夕呼先生、お、恐ろしいお人よ。付き合いの長いまりもは騙されなかったようだけど。
「冗談はここまでにして、白銀の素性は重要機密よ。訓練兵であるあんたらは勿論、教官であるまりもにも知る権限は与えられないわ」
「……ですが」
「榊! 上官の言葉に異議を唱えるなっ!」
「は、はいっ! 申し訳ありませんっ!」
「……相変わらず堅いわねぇ、まりもは。ところで、まりも、白銀の戦術機機動、どう思った? 忌憚の無い意見を聞かせてちょうだい」
「……驚愕、しました。既存の戦術機機動よりも、遥かに優れたモノだと思います。……副司令、一体、あの機動はどう言う事なのですか?」
「だから、堅いって言ってるのに。まあ、良いわ。……白銀のあの機動は、新しい概念を組み込んだ新OSに拠る物よ」
「「「「「「新OS!?」」」」」」
「と言ってもその新OS自体、白銀が発案、概念構築したものだけど。あの機動は白銀が理想とする戦術機機動の集大成。つまり、新OS、『XM3』は、白銀が理想とする戦術機機動を、万人に再現させるための物なのよ」
「「「「「「なっ!?」」」」」」
みんな、驚いてる。でも、その驚きようが、新OSの凄さを裏付けてんぜ。
「……白銀、貴様、あんな機動をイメージして、戦術機を操縦しようとしていたのか? ……私達とは、発想の根幹からして違うとしか言い様が無いわ……」
実際に衛士としての経験があるまりもが、一番驚いてんな。最後の方は、素だし。……元々の発案者は、まりもなんだけどなぁ。
「運用データが多く必要だから、あんたたち、207小隊は、『XM3』でこれからの実習を受けてもらうわ」
「「「「「「えっ!?」」」」」」
「ちょ、香月博士、勝手に決めないで下さいっ!」
「何よ。最初っから、『XM3』で操縦してた方が効率良いでしょうが」
「ですが、一応、報告を……」
「報告すべき相手は、目の前にいるわよ」
「そういう問題ではなく、これは国連軍全体の……」
「悪いけど、あたしはまだ、『XM3』を他の連中に使わせるつもりは無いわ。これは『研究』の一環なのよ。……意味、解るわよね」
「……はい」
「と言う訳よ。これからあんたたち、207訓練部隊は新型OS、『XM3』のデータ収集検証部隊となったわ。それに併せて、今日から卒業までの間、あんたたちに最優先でシミュレーターを使用させるわ。もちろん、シミュレーターのOSを『XM3』に書き換えてね」
「「「「「!!」」」」」
「こ、香月博士!?」
「それと明後日には、あんたたち専用の練習機が搬入されるよう手配してあるから。勿論、横浜基地に着き次第、『XM3』を実装させるわ」
「「「「「!!」」」」」
……信じられねえ急ピッチだ。みんなは驚きのあまり、さっきから一言も口にしてねえし。
「香月博士、私はそんな話、聞いていないのですがっ!?」
「あら、そうだっけ? なら、今、聞いたから良いでしょ」
「……ハァ」
溜息を吐いて、脱力するまりも。……まあ、気持ちは分からんでもないけどなぁ。
「あと、まりも。あんたしばらく、207小隊の娘らと一緒に、白銀に『XM3』について教わんなさい」
「なっ!?」
「何、驚いてんのよ。『XM3』について、白銀以上の教官は現在、この地球上に存在しないのよ? 白銀に教わるのは当然でしょ? それに、まりも? あんたが戦術機の操縦に関して、白銀に教えられる事、在るの?」
「そ、それは……」
純粋な衛士の実力云々で言えば、今のオレの方が確実にまりもより上だもんなぁ。にしても、夕呼先生、言い方をもう少し考えてくれねえかなぁ? ……無理か。だって、夕呼先生だし。
「それじゃ、そういう事だから、あとよろしくね、まりも」
「……了解しました」
夕呼の言葉を渋面で了承するまりも。そして、夕呼は部屋を出る直前、まりもへ振り返り、
「ちゃぁんと、白銀のこと、教官 って呼ぶのよ、まりも?」
「ゆ、夕呼っ!?」
「じゃあねぇ〜」
そんな言葉を残して、去って行った。
「……予定より遅れたが、これより、榊、御剣、彩峰、珠瀬、鎧衣の戦術機適性検査を行う。今、名前を呼んだ順序で、1号機と2号機に搭乗しろ」
「「「「「はい!」」」」」
何か、プレッシャー掛かってるっぽいな、みんな。微妙に声が硬いし。……よしっ!
「みんな、適性検査でぐらいで躓いてくれるなよ? 『XM3』の機動は、もっとピーキーなんだからよ。もし、これくらいでヘバる様だったら、オレから夕呼先生に話して、『XM3』のデータ検証の件、辞退するっきゃねえよなぁ」
挑発するように不敵に笑いながら、みんなに声をかける。
「……そんな必要は無いわ! 見てなさい、白銀!」
「……我らを、あまり見くびるなよ、タケル!」
「……白銀、余計なお世話」
「……たけるさん、そんな心配しなくていいです!」
「……タケルを見返してやるんだから!」
オレの言葉を受けて、やる気満々でシミュレータールームに向かうみんな。……上手くプレッシャー、跳ね除けれたみたいだな。
「……やるじゃないか、白銀。上手くあいつらを誘導したな」
「何の事ですか?」
「惚けるな。……案外、指揮官に向いているかもな、貴様は」
「あんまり、褒めないで下さいよ。オレ、増長するから」
「……なら、先程の台詞は撤回しておくわ」
「いや、何も撤回しなくても」
「フフッ、冗談よ」
おおっ、何か和やかな空気がまりもとの間に流れてる。一ヶ月経ってようやく、まりもとの距離が縮まった感じだ。
「ひでえなぁ、まりもは」
あっ、やべ。つい。
「!! 気安く呼ぶな、この馬鹿者!!」
また、後退。……オレって、学習能力、低いのか!?
「私は、貴様の恋人などではなく、上官なんだぞ? もう少し考えて発言をするよう心掛けろ」
「!! ……すいませんでした。以後、気を付けます」
……覚悟は決めてる。それでも、面と向かって言われるとやっぱキツイもんがあるよなぁ。
「私たちも、シミュレータールームに行くぞ」
「了解」
少し意気消沈したオレとまりもも、モニタールームを出て、シミュレータールームに向かう。
そして、それぞれ高い適性値を示して、207訓練部隊の戦術機適性検査は終了した。……みんな、無理して気分が悪くなったのを、表に出すまいとしていやがった。ハァ、意地っ張りだよなぁ、みんな。
プシュー
「いたいた、お〜い、霞ー」
夜、霞を訪ねて、脳みその部屋に行く。それにしても、ぼけ〜っと、脳みそなんて眺めて楽しいのかね? 気持ち悪くなりそうなもんだけどよぉ。
「………」
「おっ、ちゃんと貝殻持ってくれてんだな。嬉しいねぇ……」
オレの前では貝殻を耳に当ててくれてる。人を喜ばすツボを心得てんじゃねえか、霞は。
「ふむふむ、どうだ? 海に行きたくなったか?」
「……ごわごわいってます」
「ん? ああ、ごわごわ、ね」
まあ、波の音が聞こえる訳ないよな、やっぱ。
「ごわごわ〜」
「………」
「ごわごわ〜」
「……結構、面白いよな、おまえ」
「………」
「そう言えば、ちゃんと報告してなかったよな」
「………」
「総合戦闘技術演習、合格したよ。今日からようやく戦術機の訓練だ」
「おめでとう」
「ありがとうよ」
「………」
「いつまでも耳に当ててなくていいぞ。十分嬉しかったから」
「……波の音が聞こえる気がします」
「そうか。その波の音は、霞の心の中にある海から聞こえてくるんだよ」
「……心の中に、海はありません」
んがっ!
「人間はな、海にいた生き物から進化したんだ。だから、その頃の記憶が細胞に刻み込まれているんだ」
「海の中にいたら、……波の音は聞こえません」
うっ!
「い、いや、そ、その、ですね……霞が昔、海岸に行った時の思い出も関係していてですね……」
「私、海見たことないです」
え? ……海、見たことないの?
「……そっか。なら、いつか一緒に海、見に行こうぜ」
「え?」
「今すぐって訳にはいかねえけどさ、BETAをブッ倒して地球を取り返せたら、一緒に海に行こうぜ、霞。……約束だ」
「……約束?」
「ああ、約束だ」
そうだ、オレ達は勝つんだ。オルタネイティヴ4を成功させて、BETAをこの地球から追い出して。だからこの約束は、守れるモンだ。いや、必ず守ってみせる。
「よしっ! そんじゃ、指切りだ」
「……ゆびきり?」
握手知らなかったんだから、指切りも知らねえよな、そりゃ。
「おう、こうすんだ」
「あ……」
霞の小指とオレの小指を絡める。
「嘘ついたら、針千本、呑〜ますっ♪ 指切った♪」
「………」
指を切った後、霞が怯えた風でオレを見ている。
「どした、霞?」
「……針、千本も呑めません」
「……あ〜〜、その、今のはな、指切りの合い言葉みたいなモンで、本当に針千本を呑んだり呑ませたりする訳じゃねえから」
「……本当ですか?」
「本当本当」
「……よかったです」
「とにかく、BETAとの戦いが終わったら、海見に行こうぜ」
「……はい」
その後、霞と少し話してから、部屋に戻った。
――2001年11月23日(金)
――サンタが来なかったと言って泣く純夏と、必死に慰めようとしてサンタうさぎを渡す幼いオレ――
目が覚める。
「……久し振りに見たなぁ。『元の世界』の夢……」
コンコン、ガチャ、パチッ
「……あ」
霞って、オレの部屋に入る前にノックしてたんだな。初めて知ったぜ。
「……おはよう、霞」
「……あが〜〜」
バタン
「お、おい、霞、待て!」
こんなんが、今日の始まり。
この日の訓練は、みんなは動作教習。オレはまりもと模擬戦。ちなみに、模擬戦はオレの全勝。
『XM3』には、みんな最初は戸惑っていたものの、すぐに順応していた。……流石だぜ、みんな。
この調子でいけば、みんなが生き残る確率はかなり高くなる筈だ。……このままの調子で突っ走ってやるぜっ!!
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