Blade worker 8 「始まりの詩〜Love song〜」 <ゆーぼーさん>
時を遡り、所は衛宮邸玄関。学校に行く部活組と遠坂を見送る士郎とアルトリア。
「それじゃあ、皆の事は頼むな、遠坂」
「分かってるわよ。それよりも、士郎の方は大丈夫なんでしょうね?」
「ん? まあ、何とかするさ」
「ふ〜ん、手の内は明かさないって訳ね。まあ、良いわ。とりあえず、こっちの心配は要らないから、士郎はバーサーカー戦に集中しなさい」
「ああ、分かっ「ちょっと、待って下さい!!」
「どうしたのよ、桜? 大声なんか出して?」
「どうした、間桐?」
「どうして、遠坂先輩は、先輩を名前で呼んでいるんですか?」
「む、そう言えば、遠坂、俺のこと名前で呼んでたな」
「あ〜、そう言えばそうね。それが、どうかしたの?」
「そ、それは、その……」
「昨日の晩までは「衛宮君」って呼んでただろ!? 何で、今は名前を呼び捨てにしてるんだよ!?」
「あら、あなたの許可が必要なの、蒔寺さん?」
「そう言うわけじゃないけどさ……」
「士郎はどう? 嫌?」
皆の視線が俺に何故か集中。なぜか、背中に嫌な汗が。
「いや、まあ、呼びやすいように呼んでくれ」
「そう。それじゃ、士郎って呼ばせてもらうわね」
微妙に場の空気が重くなったような。
「……行くぞ、皆!!」
「分かったから、少し待て、蒔の字。ではな、衛宮」
「あ、待ってよ、蒔ちゃん、鐘ちゃん。行ってきます、衛宮君。衛宮君も気を付けてね」
「あたしらも行こうか、間桐。じゃあな、衛宮」
「はい、美綴先輩。行ってきます、先輩」
足早に出ていく皆。どうしたんだ? 何か俺を呼ぶ声に少し力、篭もってたけど。
「それじゃ、私も行くわ。……死なないでね、士郎」
「そのような心配は無用です、凛。シロウは私が護る」
「そうね。それじゃ、士郎のこと頼むわ、アルトリア」
「はい。彼女たちの事は、凛にお任せします」
「まかせなさい。それじゃ」
遠坂も、皆を追って出て行った。
「それじゃあ、俺達も行こうか、アルトリア」
「はい、シロウ」
そして、俺とアリトリアは、イリヤの居る森の城に向かった。→Blade worker 7
町を行く、見目麗しき六人の美少女。タイプの違いが、それぞれの魅力を引き立てている。人目を惹くのに充分な一団。ただ、彼女たちの雰囲気は………微妙だった。
「「「「「「………」」」」」」
内訳としては、機嫌の悪いの三名、いつもと変わり無い様子が二名、困惑しているのが一名だ。
「ところで、士郎とは知り合って長いの、氷室さん?」
現状で一番、受け答えしてくれそうな相手に問いかける。
「私と蒔の字、由紀が、衛宮と知り合ったのは、中二の時だ。だから、三年が過ぎた事になるな」
「ふ〜ん、結構長いのね。それなら、別に名前で呼んでもおかしくないと思うけど?」
「とは言え、三年来の呼び方を、いきなり変えるのもな」
「なるほどね」
「遠坂嬢こそ、何故、衛宮を名で呼ぼうと?」
「ああ、単純に「衛宮」より「士郎」の方が呼び易いってだけよ」
「なるほど」
「あ、あの、遠坂さん」
「何ですか、三枝さん?」
「遠坂さんは、衛宮君の事をどう思ってるんですか?」
「は?」
三枝さん、直球。凛様、見送った。
「ふむ、興味深い質問だな、由紀。それは私も知りたいところだ、遠坂嬢」
「「「………」」」
他三名も、耳を澄ましている。
「心強い同盟の相手、ですね。そう言う三枝さんは、士郎の事をどう思ってらっしゃるの?」
「え、あの、その、衛宮君は、優しくて、強くて、暖かくて、その、あの」
「落ち着け、由紀」
「分かりましたから、落ち着いて、三枝さん」
「あうう」
顔を真っ赤にして、気の毒な程慌てる三枝さん。なんだか、とっても悪い事した気分。……なんか話しをする雰囲気じゃなくなったわね。
「「「「「「………」」」」」」
結局、その後、学校に着くまで、言葉が交わされる事はなかった。
蒔寺楓は、思い出していた。衛宮士郎との出会いを。
中二の夏休み、少し離れた街のデパートで、風鈴の展示会が開かれていた。販売も行っており、良い物を手に入れられて、あたしは、ご機嫌だった。
でも、そんな上機嫌は長く続かなかった。肩が当たった当たらないので、地元のガラの悪い奴らに絡まれた。足の速さでは勝っていても、土地勘が無く、数も多くて、いつしか袋小路に追い込まれた。
近寄ってくる締りの無い面した連中。ベルトに手をかけているのもいた。
あたしは、歯が鳴りそうなのを必死に押さえて、そいつらを睨んだ。
でも、怖かった。涙が溢れそうだった。だから、願った。助けを求めた。子供みたいに。――正義の味方に。
「何してるんだ、お前達?」
そんな言葉と共に現れた包帯男。連中はその邪魔者に向き直り、問答無用に襲いかかった。
見ていられず目を瞑った。あいつの次は、あたしだ。体が震えるのを止められなかった。
と、あたしの肩に手が置かれた。
「いやぁぁぁぁ、離してぇぇぇぇ!!」
自分じゃないような悲鳴を上げながら、身を捩る。と、
「落ち着いて、蒔寺さん」
そんな優しい声が聞こえた。目を開けて見ると、そこにいたのは包帯男。その後ろに倒れている、あたしを追っかけてた連中。
「もう、大丈夫だから」
包帯男はそう言って、あたしの頭を撫でる。それが限界だった。
「こ、怖かった、怖かったよぅ」
包帯男の胸に顔を埋めて、あたしは泣いた。包帯男は、そんなあたしの背中を優しくさする。
しばらく、そうしていたら落ち着いた。で、落ち着いたら、疑問が頭に浮かんだ。だから、疑問を解消するために、目の前の人間に聞いてみた。
「何で、衛宮が、こんな所にいるんだ?」
その包帯男は、あたしの学校一の有名人で、中一の時の同じクラスの人間だった。
衛宮の話じゃ、衛宮の知り合いが、風鈴の展示会の関係者で、付き添いでこの街に来た。そんな中、逃げるあたしと追う奴らを目にして、後を追って来て、先程の事に繋がった。
「どうして、あたしを助けてくれたんだ?」
思わず、そう聞いていた。あたしは衛宮と話した事は無い。それどころか、避けてた。それなのに。
でも、衛宮は事も無げにこう返した。
「助けられる人を助けるのは当然だろ。それに、蒔寺さんは女の子じゃないか。こう言う時は男は女の子を護るものだって、オヤジも言ってたしな」
そう言って、衛宮は笑った。包帯を巻いていようが、あたしはその笑顔が、暖かくて優しいものだって分かった。
多分、その笑顔と、あたしを護ってくれた衛宮の温もりが、恋の始まりだったに違いない。――そう、あたし、蒔寺楓は、衛宮士郎に恋をしてる。
氷室鐘は回想する。衛宮士郎との関りの始まりを。
衛宮士郎との邂逅は、そう劇的なものではない。衛宮に危ないところを助けられたと言う蒔に、お礼をしに行くのに、付き合って欲しいと言われたのだ。仕方なく、由紀と共に付き添った。
衛宮と会って、話して、衛宮が良い人間である事が知れた。心根は真っ直ぐで強く、衛宮が纏う空気は優しく暖かい。
衛宮の過去と取り巻く環境からすれば、申し訳ないが意外と言う他無かった。だからこそ、衛宮に興味を持った。
それから、衛宮の持つ優しく暖かな空気に惹かれ、私達は衛宮家に出入りするようになった。藤ねえさんも興味が絶えない愉快な御仁であったしな。
そんな中、冬のある日。私は衛宮家に忘れ物をした事に気付いた。翌日の授業に必要な教材で、帰り道の途中、引き返した。
月が出ているにも拘らず、門は開いていた。不用心だと思ったが、いつもの事と、中庭に回る。この時間なら衛宮は居間にいるはずだ。靴の脱ぎ履きを省くため、衛宮を呼ぼうと、中庭に足を踏み入れる。
そして、縁側に座り、月を見上げる衛宮を見た。
声を掛けれなかった。私の知る衛宮ではなかった。私と、衛宮の間にある距離が無限の如く思えた。
「……氷室? どうしたんだ、そんなところにつっ立って?」
私に気付いた衛宮が、笑顔で私に向き直る。……その時、良く取り乱さなかったと自分を褒めてやりたかった。
忘れ物を受け取り、帰路に着く。頭にあるのは、先程の衛宮の事だ。
衛宮があの時、私に向けた笑顔。何故、衛宮が、あんな今にも砕け散りそうな継ぎ接ぎだらけの笑い方をしなければならないのか。
世界が理不尽であると、私は知っている。知っているが、何も、衛宮があのような顔をしなければならないほど、理不尽で無くとも良いだろう。
何故、衛宮の事で、世の理不尽に対し、こうも腹立たしい気分になるのか。
答えは既に出ている。だが、今まで気付かなかっただけ。
「私の柄では無い気がするが。それでも、己を偽る事は出来ないな」
そうだ、私、氷室鐘は、衛宮士郎に好意を抱いている。特別な好意、所謂愛情を。
三枝由紀香は、考える。いつ、その気持ちを自覚したかを。
衛宮君と友達になったのは、蒔ちゃんを助けてくれたお礼に行った時。
でも、お礼をしに行ったはずなのに、わたし達の方がごちそうになっちゃった。
その時、衛宮君が作った料理に感動して、色々教えて貰う約束をして、それから、蒔ちゃんや鐘ちゃんと一緒に衛宮君の家に通い始めた。
大河姉さんとも仲良くなって、衛宮君の家でみんなといる時間が、わたしの一番好きな時間になっていった。
でも、他の友達はみんな、衛宮君の家に行かないほうが良いと言う。
みんなが、衛宮君の良さが分かってくれれば良いのに。でも、衛宮君の良さを、あんまり知られたくないなとも思う。何でだろう?
そんな時だった。蒔ちゃんと鐘ちゃんはお家の事情で来れなくて、大河姉さんはお友達のネコさんと出かけて、わたしと、衛宮君が初めて二人きりになったお休みの日があった。
その日もいつもの通り、お料理を習って、お昼をごちそうになった。その日は気持ちの良いお天気で、衛宮君は縁側でお昼寝していた。
気持ち良さそうだったけど、風邪を引かないようにと思って、タオルケットを掛けてあげようとしたら、
「はわわ!!?」
寝ている衛宮君に、抱き締められていた。
優しくだけど、しっかり抱き締められて、抜け出せそうにない。結局、衛宮君が起きるまでそのままだった。
起きた衛宮君は、わたしに謝ってくれた。すごく申し訳無さそうに。わたしは、気にしないでと衛宮君に言って、その日はすぐに帰った。
衛宮君に抱き締められていた間、ううん、その前から、わたしは衛宮君の事を考えていた。ずっと、ずっと。この気持ちは何なんだろうって。
でも、この日、はっきり分かっちゃった。
わたし、三枝由紀香は衛宮士郎君の事が大好きです。
美綴綾子は記憶を掘り起こす。衛宮士郎と出会ってからの日々の記憶を。
衛宮とは、弓道場で会ったのが最初だ。あたしは、自分の信念の許、高校での部活は、経験のない弓道部に決めていた。
そこに、顧問の藤村先生に連れられて、衛宮がいた。衛宮を弓道部に入部させると藤村先生が言った時、部の人達は難色を示した。弓道は儀礼的な面も強いから、しょうがないとも思った。
すると、藤村先生が無茶な事を言い出した。衛宮に十本射たせて、全て的に当てれば、入部を認めろと。
試させて貰った人間から言わせてもらえば、そんな事、無理だと思った。少し衛宮に同情した。
でも、そんな同情は的外れだった。
衛宮は初心者だった。射ち方を先輩の一人に習っていた。ホントに知らなかった。
でも、弓を構えた衛宮は、息を呑むほどサマになっていた。
そして、十本全てが中り、衛宮の入部が決まった。
それから、あたしは衛宮をライバルに決めた。
衛宮の射は神業だった。衛宮の射に近付くために、衛宮の射を見つめ続けた。
そして、その年のお盆。あたしは少しでも腕を磨くため、一人で弓道場に向かっていた。と、先客がいた。衛宮だった。
その時の衛宮の射は、あたしが今まで見てきたものと違った。それは剥き出しの衛宮だった。目が離せなかった。
あたしは、後ろから衛宮を見ていた。衛宮の向こうに見える夏の高く蒼い空。何故か、衛宮が荒野に立っているように見えた。
「衛宮!!」
「わっ!? み、美綴? 何で、いきなり大声でって、ホントにどうしたんだ、美綴!?」
あたしは、いつの間にか泣いていた。訳が分からなかった。
衛宮が、蒼い空の下の荒野に行く事が怖いと思った。
衛宮は、その荒野には孤りで行く。それを寂しいとすら、衛宮は思わないだろう。
それが切なくて、悔しくて、許せないと思った。
なら、答えは簡単だ。衛宮があの荒野に行くのなら、あたしも付いて行けば良い。
何で、そこまでするのか。それも簡単。あたしは、初めて衛宮の射を見た時から、衛宮に魅せられていたんだ。自分でもどうにもならないほど。
要するに、あたし、美綴綾子は、衛宮士郎に惚れちゃったって訳だね。
間桐桜は想い起こす。あの赤い夕暮れより始まった大切な気持ちを。
わたしが先輩の事を知ったのは、高校に入ってからじゃない。もっと、前。わたしが中学に入って、一月程経った頃の事だった。
もう、その頃のわたしは色んなことを諦めていた。どこにも自分の居場所が無くて、放課後の教室で一人座っていた。
その時、運動場で、高飛びをしている包帯を巻いた人がいた。
知ってた。周りに興味がなくても、人の話は聞こえてくる。表面上、わたしよりも不幸な人。わたしは優越感と、劣等感が入り混じった複雑な感情を抱いて、その人が高飛びをしているのを見ていた。
絶対に飛べないであろう高さの高飛びに、何度も、何度も挑戦するその人。
それは、まるで、諦めてしまった私を責めているように思えた。だから、わたしは、あの人がすぐに諦めてくれるようにと願った。
でも、彼は諦めなかった。何度も、何度も。真っ直ぐ、バーを見据えて、いつか飛んで見せると、挑んで行った。そして、
「頑張れ」
自分の声に驚いた。わたしは、彼が諦める事を願ってた筈なのに。
その声が彼に届かないものだとしても、わたしが彼に頑張って欲しいと思ったのは、事実だ。
わたしにとって、それは奇跡だった。
結局、彼は飛べなかった。それでも、彼はわたしにとって、奇跡をもたらしてくれた人だった。
それから、私は彼を目で追うようになっていた。
彼が中学を卒業した後の一年は、無味乾燥な日々だった。
そして、彼と同じ穂群原学園に入学して、御爺様に、彼の監視を命じられた。
嬉しかった。彼の側にいる事が出来るから。騙している事に罪悪感も覚えた。けれど、側にいる事をわたしは選んだ。
彼の側は優しくて暖かった。彼の周りには他の人もいて、胸が痛かった。それでも、彼の側にいられる喜びの方が大きかった。
わたしは色んな事を諦めてきた。でも、彼を、先輩だけは諦めたくない。
もう一度だけ、わたしに諦めないという奇跡を下さい。
わたし、間桐桜は、先輩を、衛宮士郎さんを愛しています。
学校に着いた一行は、蒔寺、氷室、三枝の陸上部組と美綴、間桐の弓道部組に別れる。
「私は調べる事があるから、校舎の方に行くわ。一人で行動する事は避けてね。アーチャーを憑けとくから、大丈夫とは思うけど」
「凛、字面が違う気がするが。まあ良い、油断するなよ、凛」
「わかってるわよ。まあ、日曜日とは言え、まったく人気が無い訳じゃないから、よっぽどの馬鹿じゃない限り、こんな日の高い内から戦い仕掛けようなんて奴いないわよ」
実は該当者が一人いたりするが、今は関係ないので、置いておこう。
「それじゃ、後でね」
「……ああ」
「気を付けてな」
「頑張って下さい、遠坂さん」
「昼食は弓道場の方でとるからな」
「遠坂先輩、気を付けて下さいね」
そうして、校舎に入った凛を見送った後、皆それぞれに部室に向かった。
ちなみに、その日も結界は発動せず、何事も無かった。そして、これと言った収穫もなく、結界の起動を僅かながら遅らせるくらいの事しか出来なかった。
衛宮士郎は強烈な痛みを感じて、意識を急速に取り戻した。
「ギィ……グゥ…、な、何なんだ?」
ムォォォン。
眼を開けて、目の前にあったのは、巌のごとき顔。と言うか生首。
「近っ!! て言うか、な、生首〜!!?」
「起きたの、シロウ!?」
「ムグムグ……、起きたのですか、シロウ!?」
声をする方を見れば、心配そうにしているイリヤとアルトリア。……食いカス付いてるぞ、アルトリア。
「ここは、って言うかさっきのバーサーカーは一体!?」
「ここは、わたしの城よ。それと、さっきのバーサーカーの事なら、シロウがバラバラにしたんじゃない」
「え゛、そ、それホントか、イリヤ?」
「ウソよ。わたしくらいのマスターになれば、サーヴァントの体の一部だけの実体化だって造作もないんだから」
エッヘンと胸を張るしろいこあくま。心臓に悪いから止めてくれ、ソレ。
「それよりもシロウ、大丈夫なのですか? この城に着いた途端、崩れるように気を失ったのですから」
「え、ああ、だいじょぅ、痛ぅ〜〜〜〜〜〜!!!」
「「シロウ!?」」
「だ、大丈夫」
「涙目で言っても説得力ないんだから、シロウ」
「いや、しばらくしたら、治まるから、大丈夫だよ、イリヤ」
「……シロウ、あの歪んだ剣が原因ですか?」
「ん、だろうな」
「アレは一体何なのですか?」
「……アルトリアの聖剣を「創り」変えたんだ。「歪んだ幻想」として」
「なっ!?」
「ただ、星が鍛った神造兵装である聖剣を創り変えるのは、世界からの修正が強くて、通常空間での投影は無理。だから、固有結界を展開してから、投影をしたんだ」
「何と言う無茶をするのです、あなたは!!」
「分かってる。火山として存在している山を、普通の山にするみたいなものだからな」
「分かっているなら、何故、そのような無茶をするのです!?」
「アルトリアは、宝具を撃てなかった。アレ以外、バーサーカーを打倒できる武器がなかった」
「確かにそうですが……」
「まあ、あまり多用出来るモノじゃないからな。しばらくは、使わないようにするよ」
「結局、使うつもりなのではありませんか!!」
「そりゃそうだ。アルトリアやイリヤ、皆が危なけりゃ、使うさ」
「……フゥ。分かりました。ならば、シロウがアレを使う前に、シロウの敵を私が討つ事にします」
「む、それは、わたしのバーサーカーの役目よ、セイバー」
「何を言うのです、イリヤスフィール。シロウの剣は私だ。バーサーカーの出る幕なぞありません」
「何よ、宝具も使えないくせに」
「う、し、しかし、それは、私の責ではありません」
「あら、騎士のくせに言い訳? アーサー王ともあろう者が情けないわね」
「くっ、だがしかし、宝具を使えずとも、我が剣に賭けて、シロウは私が護ります!!」
「だから、それはわたしの役目なのー!!」
森での戦いを再現しかねない位に、剣呑な空気を放ち始めた二人の言い合いを見ながら、心配掛けないためにも、なるべく「歪んだ幻想」を使わないようにするかなぁ、と思った。
あとがき:今回も中途半端な終わりになり申した。ど〜も、木星辺りのブラザーと交信中の福岡博多です。今回は、難産でした。ラヴの難しさに打ちのめされました。まあ、これで、一つヤマは越えたと思います。
さて、実は今回で、あとがきを最後にさせて頂きます。何て言うか、ネタがないのです。その分、掲示板に色々書いていこうと思います。
それでは、アディオス〜。
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