Blade worker 14 「炸裂! 虎式決戦奥義(男限定)!!」 <Edgeさん>
―2月5日・六日目
目が覚めて隣を見れば、楓が寝てる。俺の腕を枕にして満足そうだ。
髪を優しく梳くと、くすぐったそうにする楓。
「そろそろ、動かなきゃ不味いか」
起こすのは気が退けたが、そう言う訳にも行かないだろう。楓を起こすために、小さく呼び掛ける。
「楓、朝だぞ。起きてくれ」
「っん、んぅ〜」
もう起きかけてたのか、すぐに目を開ける楓。寝惚け眼だけど。
「しろぅ〜?」
「うん。眠いだろうけど、起きてくれ」
「う〜ん〜」
まだ半分、眠りの世界の住人だな、こりゃ。しょうがない。
「取り敢えず、風呂場に連れて行くからな」
「……わかった〜」
楓を抱きかかえ、「固体の蛇」並みの隠密行動で風呂場に向かう。お互い、色々な意味で、体を洗わなきゃいけないからなぁ。
「急がないと、皆が朝風呂しに来るみたいだし」
まあ、毎回起きたら、相手の身繕いをする事がお決まりだから、慣れたもんだけど。
風呂場に入り、シャワーで楓の体に付いた情事の残滓を洗い流す。
「ししししし、士郎!? ななななな、何してんだよ!?」
完全に覚醒した楓が、顔を真っ赤にして慌てていた。
「いや、楓の体を、洗ってるんだけど」
「なんでさ!?」
「楓、疲れてるだろ? それに、こう言う事は、男の務めだしな」
先生から、叩き込まれた教えだ。
とにかく、恥ずかしがる楓を宥めすかし、お互いの体を綺麗にする。楓も疲れているからか、抵抗は弱々しかったしな。
「よし。それじゃ、部屋に戻ろうか?」
「う、うん」
皆が来ない内に、俺の部屋の戻る。
楓は放置していたバジャマを着て、荷物を置いてある部屋に向かった。
「布団は、……ゴミに出さなきゃ駄目か」
色んな意味で使えなくなった布団を見やる。……どうして、俺って奴はこう、歯止めが利かないんだろうか? これでも、楓が初めてだったから、必死に抑制したつもりなんだが。
そのせいか、こう、悶々としていると言うか。さっきも、楓の体を洗いながら、色々葛藤が在ったのは秘密だ。
使えなくなった布団と使用済みのスキン3つを処分するため、部屋を出た。
そろそろ、朝食の時間だ。誰にも知られる事なく、布団その他を処分した後、居間に入ると、
「おはよう、衛宮」
「おはよう、おとうさん」
橙士と氷室が居た。二人の声が聞こえたのか、三枝が台所から顔を出して、
「おはよう、衛宮君」
挨拶してきた。
「おはよう、皆」
「フッ、やっと起きてきたか」
台所から、赤いエプロンをつけたサーヴァントが出てきやがりました。
「……何してんだ、アーチャー?」
「橙士のために、朝食を作っている」
何を当たり前の事を訊いているんだ、この馬鹿は? と言わんばかりのアーチャー。……この野郎。
「衛宮君。アーチャーさん、凄くお料理上手なんだよ。わたし、色々教わっちゃった」
三枝が嬉しそうに言う。くっ、ここは抑えるか。
「美綴や、間桐達は?」
「彼女らなら、まだ身繕いの最中だ」
「そっか」
と、噂をすれば影か。美綴、間桐、遠坂、イリヤ、アルトリアが居間に入ってくる。
「おはよう、皆」
「おはよ、衛宮」
「おはようございます、先輩」
「おはよ、士郎」
「おはよう、シロウ!」
ここまでは普通だったんだが、
「オオオオ、オハヨウゴジャイマシュ、ッシ、シロウ!」
「「「「「「「「………」」」」」」」」
アルトリアが首まで真っ赤にして、俺から目を逸らしている。……何故?
「ア、アルトリア? どうかしたのか?」
スッと俺が前に踏み出すと、アルトリアはビクッとして、一歩退がる。
踏み出す。退がる。踏み出す。退がる。踏み出す。退がる。
「ア、アルトリア? お、俺、何かしたか?」
こう、あからさまに避けられるような事をした覚えは無いぞ。……うん、無い。
「い、いえ、シロウは、私には何もしていません。これは、私の問題ですから、気にしないで下さい」
「そうは言ってもなぁ」
「うぃ〜す。? 何かあったのか?」
と、そこへ楓が居間に入ってきた。少しガニ股で。……アルトリアがヘンなのは、むしろ助かったか?
「ニャ、ニャンデモアリマシェン、カエデ!」
「ど、どしたんだ、アルトリアは?」
「いや、俺も良くわかんない」
とにかく、今のアルトリアは、おかしい。昨日まではどうもなかった筈だ。朝までの間に何かあったんだろうか? その疑問はすぐに解明された。右斜め上45度の方向から。
「おはよう、かえでおねえちゃん」
「おはよ、橙士。おっと、元気一杯だな」
橙士は楓に挨拶しながら、その胸に飛び込む。楓はそんな橙士を優しく受け留める。
「ん〜、おとうさんのにおいがする〜♪」
橙士は、楓の胸の中で顔を擦りつけるようにしながら、嬉しそうに仰いました。
「「なっ!?」」
俺と楓は揃って、声を上げる。周りは、硬直。
「ねえ、おとうさん。かえでおねえちゃんもママになるの?」
俺の方に顔を向けて、無邪気に訊いてくる我が息子。嗚呼、息子よ。今、お前の無邪気さが辛い!
「ふ〜む。橙士、訊いても良いかね?」
「? な〜に、アーチャーおにいちゃん?」
「おかあさんとママは別の人なのかね?」
「うん。バゼットママだよ」
「バゼットママと言うのは?」
「リーシャちゃんのおかあさんなの」
「リーシャと言うのは?」
「ぼくのいもうとなの」
「ほぉ〜〜う」
ニヤリと底意地が捻くり曲がった笑みを俺に向けるアーチャー。上等だぁ!! 表に出ろ、この野郎ぅ!!
「ふむ、と言う事はだ。衛宮士郎は、蒔寺楓に己の匂いが染み付くような行為をしていた訳だ。子供を産ませた女性に匹敵する位の事を」
大仰な態度で説明しているアーチャー。……殺りたい。コイツだけは俺の手で。
「そしてセイバーの異変は、おそらく、その行為が起因しているな。ラインを通じて流れ込んだのだろうな、一部始終」
アルトリアを見ると、全身真っ赤にして俯いている。はっはっはっはっはっ、成る程なぁ。それじゃ、避けたくもなるよねぇ。
「フッ、貴様が側にいては、橙士の情操教育に良くない。橙士の事は私に全てまかせ、煩悩を抱いて溺死しろ」
ぐぐぐ、コイツは敵だ。間違いない!
「てめ「どういう事かしら、衛宮くぅん?」
アーチャーを滅殺しようとした俺を制する背筋を凍らす声音。ギギギと音が鳴りそうな感じで振り向くと、
トンネルを抜けると、そこは氷結地獄でした。
と言わんばかりの、冷たく禍々しい気配を湛えた空気を放つ遠坂。
こ、怖えぇぇぇぇ!!
心の中で絶叫。……お、俺、死んじゃうかも!?
「蒔寺さんの様子と橙士ちゃんの言葉を鑑みれば、全部事実みたいね」
絶対零度の、決して笑ってない笑顔の遠坂。眼はブッ殺!! って断言してるぅ!! 何故に人差し指を俺に向けますか、遠坂さん!?
「ふむ、まさかまだ子供がいたとは。しかも、母親も違うか」
顔にあまり、感情を出さない氷室。だが、付き合いが長いから、分かる。思いっきり呆れてる。うぅ、そんな眼で俺を見ないでくれ〜。
「……え、衛宮くぅ〜ん」
ウルウルと瞳を潤ませて、俺を見上げるように窺う三枝。ぐはっ、罪悪感が、罪悪感が圧し掛かるぅ〜!! 俺なりに真剣なんだが、三枝の瞳で見られると、どうしても罪悪感がぁぁぁ!!
「ふ〜ん、ほ〜う。この事、藤村先生が知ったら、どうなるかねぇ〜? なぁ、衛宮?」
眼を吊り上げながら笑顔を作るなんて、器用だなぁ、美綴は。……アレが出そうだから勘弁して下さい。お願いします。
「フフフフ……クスクス………ゴーゴー」
間桐は俯いて、何か呟いている。ただ、瘴気? に近いモノを噴出させているような……? イヤイヤイヤ、錯覚だ。そうに違いない。そうに決まってるんだぁ!!
「ね、ね、カエデ。シロウって優しかった? それとも激しかった?」
イリヤは、真っ赤になった楓に色々質問している。って、楓も律儀に答えて、その答えの内容が皆の耳に入る度、居間の空気が加速度的に重くなる。先生と青ねえの喧嘩の時みたいだぁ!!
「シ、シロウ。な、何事も、節度も持ってですね。い、いえ、そ、その」
アルトリアは、赤いまま俺を諭そうとしてくるが、俺と目が合うとすぐ逸らす。………とんでもなく気まづい。「あなたは、マスター失格です!!」とか言われないだろうか? 言われても、肯定しか出来そうにないです。
「さて、橙士。しばらく向こうに行っていようか」
「うん」
橙士を抱きかかえ、居間を出て行くアーチャー。テメェとは必ず決着を付けてやらぁ!!
「それじゃ、衛宮君の話を訊きましょうか?」
判決は覆りませんと宣誓された死刑囚のような気持ちで、俺は口を開いた。
「全くもう! 信じらんない!」
穂群原学園の屋上で、怒声を上げているのは遠坂凛である。
屋上には、結界の術式に介入するために来ているのだが、怒声を上げる事が優先されていた。
「ホント、あんな奴だとは思わなかったわよ!」
あの後、士郎が話した内容は、楓にも、母親である女性に対しても真剣だと言うものだった。そして、楓もそれで良いと言う。
何故か、胸に黒い衝動が湧き起こり、士郎にガンドを撃ち込んで一人で学校に出てきた。何故か、無性に腹立たしかった。
「凛。早く事を済ませて、戻ろう。橙士が寂しがるといけない」
「あんたねぇ……」
学校に行く前も、士郎の家に残ろうとするのを実力行使で引き摺って来られたアーチャー。……凛を勝たせる気が在るんだろうか?
「――Anfang」
そして、結界の起点の一つである陣に介入しようとする。が、しかし、
「凛!!」
「くっ!!」
穂群原学園は、鮮血の結界に包まれた。
「アーチャー! サーヴァントの気配は!?」
「ああ、掴んでいる! 行くぞ、凛!」
急いで校舎に戻る。私の目の前で、こんな下劣な方法を取った報いを受けさせてやるわ。
「いたぞ、凛!」
アーチャーの声に眼を向けるとそこには、紫がかった長い髪の黒衣の女を伴ったゲスがいた。
「やあ、遠坂」
親しげに私を呼ぶ声が癇に障る。そう、あんたな訳ね。
「こんにちわ、間桐君。単刀直入に訊くわ。これは、あなたの仕業?」
「そうだよ。無いのなら余所から持ってくる。魔術師としては当然だろ?」
「……」
「ところで、遠坂。僕と組まないか?」
優越感に酔った慎二の表情。断られるとは欠片も思ってない。
「お断りよ。私は衛宮君と組んでいるから」
「ハァッ!? あんな汚らしいクズとだって!?……凄い冗談だね、遠坂」
もう、忌々しげに表情を崩してる。ホント、小物ね、コイツ。
「そうね。比較するのもおこがましいわね。悪い事しちゃった、衛宮君に」
あらら、顔を真っ赤にしてる。血管、切れちゃわないかしら?
「僕が、あんなクズに劣ってるとでも?」
「士郎がクズなら、あんたは表現する言葉が無いくらい無価値よ」
私は士郎に色々言う権利が在るけど、あんたには無いのよ!
「大体、士郎はサーヴァント相手に白兵戦出来て、家事万能で、お金持ちなのよ。対するあんたは、表面だけのワカメっ子で、魔術は使えない、一人じゃ何も出来ないヘタレ。どうやって、あんたと組もうと思えって言うの? 教えてくださらない?」
フフンと鼻で笑うように言ってやった。
「〜〜〜っ!! ライダー、あの女を殺せぇ!!」
口の端から、唾液の泡を飛び散らせながら声を張り上げる慎二。
「シンジ、ここは退くべきです。「他者封印・鮮血神殿」による精気の吸収を阻害するモノが存在します。今の私の状態では、彼女のサーヴァントに勝てそうもありません」
「そんな事は訊いてない!! 僕はあの女を殺せと言ったんだ!!」
「……了解しました、シンジ」
ライダーに同情しちゃうわ。だけど、こっちとしては好都合。
「アーチャー、ライダーは任せるわよ」
「了解だ、マスター」
不敵に笑う弓兵。私の勝利は疑いようも無い。不確定要素さえ無ければ。
ガラララ。
慎二の側の教室の扉が開いて、人が出てくる。こんな時に!
「うぅ、救急車を……」
「ふ、藤村先生!?」
ヨタヨタと歩く藤村先生は倒れこみ、慎二のズボンの裾を掴む。
「動くなよぉ、遠坂ぁ!藤村の命が惜しければなぁぁ!!」
「……私には、関係ないわ」
「へぇ〜、じゃあ、かかって来いよ。藤村が死んだら、あのクズと桜が悲しむだろうなぁ」
「………」
「さぁ、ライダー。先ず、遠坂のサーヴァントから殺せ。遠坂は、その後、僕の奴隷にでもしてやろうかなぁ」
「たわけ。殺したければ殺すがいい」
「なっ、何だと!?」
「アーチャー!?」
「一つ教えてやろう、間桐慎二。人質と言うのは強者が保有してこそ意味のあるものだ。貴様のような弱者では扱いきれん」
アーチャーが一歩踏み出す。
「動くな!! こいつがどうなっても良いのか!?」
慎二が藤村先生の頭を足蹴にする。
「ふん。知った事「ごぉらぁぁぁぁぁぁ!!!」
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!?」
足蹴にしていた藤村先生が起き上がった事でバランスを崩す慎二。辛うじて、転ばないで体勢を立て直した慎二に、藤村先生の怒号が襲いかかる。
「先生の頭を足蹴にするとは何事かぁーーー!!!」
どこからか取り出した虎竹刀を、鍔元を鍔ごと逆手に持ち、間合いを詰める。
「ア、アレは!?」
アーチャーが驚愕する。顔を真っ青にして。……何か心当たりでもあるのだろうか。
慎二の眼前で、勢い良く伏せる。それは、あたかも獲物に飛びかからんとする為、地に伏せる猛虎の如し。
「教育的指導ーーー!!!」
伏せた反動を利用して、虎竹刀に全体重を乗せ、振り上げる。それは正中線を両断するが如き逆風(意訳:物凄い金的) 。
藤ねえ・決戦奥義、「虎伏○刀勢」
メシャベッキャアァァァァァ!!!
「¥&%#!$@*」
インパクトの瞬間、慎二の目玉は飛び出し、口は顎が外れるほど開け、舌はジグザグを描きながら伸びる。実にアメリカ〜ンな苦悶を見せながら、縦に一回転半して、顔面から着地。そのまま、廊下に倒れた。
痙攣しているところを見ると生きているようだ。
「これからは、三歩下がって師の影踏まずを心がけなさい!!!」
痙攣する慎二を、竹刀でビシッと指す藤村先生。停止する時間。
「ああっ!! 早く救急車を呼ばなきゃ!!」
そう言って廊下を走り、階段下りて行く藤村先生。
「「「………」」」
藤村先生が消えた廊下の先から何となく目が離せない。何と言うか、物凄い肩透かしを喰らってしまった。
カララララ。
窓の開く音に、そちらを向くと慎二を抱えたライダーが、窓から身を乗り出した所だった。
「今日は、退かせて頂きます。それでは」
言って、校庭に飛び出すライダー。結界は解除したようだ。
「アーチャー!……って、あんた、何してんのよ!?」
ライダーを追おうともせず、そこに佇んだアーチャーに剣呑な視線を向ける凛。
「い、いや、実は……」
まさか、「虎伏○刀勢」を目にした事により、魂の奥底に刻み込まれた痛みが蘇り、身動き取れなくなったなどと言える筈がない。……何かないだろうか、良い言い訳は!
ポク、ポク、ポク、チーン。あった、ありましたぁ!
「凛。ライダーはおそらくメドゥーサだ。彼女の魔眼で、私は動きを封じられたのだよ」
「ハァ!? そんな気配なかったけど」
「君が呆けている間にだ。逃げる時間を稼ぐためだけの行使だったから、感知できなかったのだろう」
「……ホントでしょうね」
「嘘を言ってもしょうがあるまい」
全部が全部、嘘ではないからな。凛の疑いの眼差しを受け流す。
「ま、ライダーを逃がした事には変わりないわ」
「次は逃がさんさ」
「期待はしないでおくわ。それよりも、藤村先生、結界内で良く動けたわね」
「……凛。彼女は衛宮士郎が作ったであろう「護符」を身に付けているのだが、気が付かなかったのか?」
「え? そうなの?」
「それでは、学校の教室の外側に「大鹿」のルーン、内側に「太陽」のルーンが仕込まれているのは?」
「……き、気付かなかった」
「まあ、ライダーの結界の存在感が強いせいで、分からないのも無理ないがね」
ちなみに、士郎は、結界の存在を感知した2月2日に結界対策を講じていたのだ。教室の外側に、守護を意味する「大鹿」のルーンを施し、外からの結界の力を軽減させ、内側に、パワーを象徴する「太陽」のルーンを施す事で、中にいる生徒の抵抗力を高めたのだ。
この二段構えの対策により、被害はかなり抑えられた。
「それでも、被害が出ちゃったわね」
「……これ以上、出すつもりはないのだろう?」
「勿論よ」
「良い答えだ、マスター。それで、これからどうする?」
「綺礼のバカに連絡して、引き上げるわ。私がここにいても、しょうがないから」
「…了解した」
歩き出す凛とアーチャー。近付いて来る救急車のサイレンを聞きながら、学園を後にした。
学校から戻ってきた遠坂から、話を聞いた。
「そっか」
言って、深く息を吐き出す。
「まあ、でも、士郎が色々してたお陰で、被害は最小限だったと思うわよ」
「……ん、サンキュ」
「な、何で士郎がお礼を言うのよ」
プイッと顔を背ける遠坂。ホント、良い奴だよな、遠坂。
「それにしても、アレが出たか」
「タイねえも、溜まってたんだろうな、色々」
「大丈夫かな、間桐君?」
「いや、自業自得だから、気にしないで良いって」
「少なくとも、2・3日は動けないと思います」
「アレって何?」
「なに〜?」
「………」
「シ、シロウ? どうしたというのですか? 包帯で見えないというのに、顔色が悪い気がしますよ」
「……き、気にしないでくれ、アルトリア」
「そうは言われても……。大丈夫なのですか?」
「まあ、衛宮にとっては、辛い記憶だからな」
「どういう事です、鐘?」
「なに。件の間桐慎二と言う男が喰らった技に以前、衛宮も痛い目をみせられたのでな」
高1の夏休み。士郎が誰にも何も言わず、3日ほど姿を消した事があった(勿論、「宝石」と「青」の仕業)。で、帰ってきた士郎を皆で問い詰めた時、
「むむっ!! 士郎から、縦ロールの金髪お嬢様の匂いがするぅ!!?」
「な、何で分かるんだ!………ハッ!? し、しまったぁ!!」
「うわーーーん!! 士郎が金髪狂いになっちゃったぁぁぁ!! むぉぉぉぉぉ、 成敗!!!」
「あぎゃあぁぁあぁぁぁあぁぁ!!!」
何とか、両方とも無事だったが、2日間起き上がれないほどのダメージを受けた。
「し、士郎、死んじゃダメェェェェェ!!」
いや、やったの、あなたですから。
「……その話はもう止めてくれ」
モゾモゾと腰を動かす士郎。ちなみに、アーチャーは内股になって少し腰を引いている。
「とにかく、学校の結界が解かれただけ、良しとしよう。これで、今の所、居場所が分かってるのは、柳洞寺のキャスターとアサシンだけだな」
「攻めるの、シロウ?」
「ああ、今夜にも攻めようと思う。アルトリアもそれで良いか?」
「ええ、構いません」
「遠坂は、皆のガード、頼む」
「フッ、貴様に言われんでも、橙士は私が護る!!」
「……(アーチャーの事は)まかせといて」
「……頼む」
「わたしとバーサーカーはシロウと一緒に行くわ」
「頼りにしてる、イリヤ」
「当然よ。アルトリアの出番なんて無いんだから」
「む、それは聞き捨てならない。シロウの剣は私です」
「もう、その話題で喧嘩するの止めないか?」
そうして時間は過ぎ、戦いの夜となる。
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